名古屋市南区で相続対策なら相続あんしんサポートなごやまで!初回相談無料です。

コラム

2025/06/01

外国人投資とマンション高騰の真相――政府が動いた理由と今後の課題

■外国人投資とマンション価格高騰——政府が実態調査へ

近年、都市部を中心に新築マンションの価格が異常とも言える水準で高騰しています。特に東京や大阪などの主要都市圏では、地元住民の手の届かない価格帯となっており、「買いたくても買えない」若年層・子育て世代が増えています。

この価格上昇の背景に、外国人による不動産投資の影響があるのではないかとする見方が強まり、ついに国土交通省が本格的な実態調査に乗り出す方針を発表しました(NHK経済コラム/2025年5月)。


■注目される外国人投資の「影響力」

外国人による日本の不動産購入は、これまで「地方の空き家再生」「観光需要を見越した民泊用物件」などが主な関心対象でしたが、近年では都心部の新築マンションに資金が流入している傾向が見られます。

特に、為替レートの影響により円安が進んだ2023年以降、海外資本から見ると日本の不動産は「割安」に映るため、資金の流入が加速しました。また、日本の不動産は所有権が安定しており、登記制度が明確なことから、資産保全の手段としても魅力的と評価されています。

その結果、一部の新築物件では販売戸数の3割以上が海外投資家に渡っているという開発業者の報告もあり、投資目的の購入が実需を圧迫していると懸念されています。


■なぜ政府が「初の本格調査」に動いたのか?

これまでも国土交通省は外国人所有者の動向を断片的に把握してきましたが、今回の調査は販売段階から資金の出所や使用目的、居住実態までを包括的に把握する初の本格的試みとなります。

背景には、以下のような懸念があると考えられます。

  • 国内居住者への影響:外国人投資によって価格が押し上げられ、地元住民が住宅を購入できなくなる

  • 空き家・空室の増加リスク:実需に基づかない投資物件が長期的に放置される可能性

  • 地域社会への影響:住民の流動化により、コミュニティの継続性や安全性への影響が生じる可能性


■税理士の立場から見る「投資と税制の歪み」

税制の観点から見ると、外国人投資家に対しては日本国内での課税が及びにくい仕組みも存在します。たとえば、居住実態がなくても法人スキームを使えば、固定資産税の軽減や所得の圧縮が可能になるケースもあるため、国内の投資家との間で「不公平感」が広がっています。

また、相続・贈与税の観点でも、日本に住んでいない非居住者には相続財産の課税範囲が限定されるため、税逃れの温床とならないよう慎重な制度設計が求められます。


■まとめ:価格と公正性の両立を目指して

不動産市場は経済全体の「温度計」とも言われます。今回の調査を契機に、実需と投資、国内と国外、資産家と一般家庭のバランスを見直す必要があります。

外国人投資を全面的に排除すべきとは思いません。しかし、公正な税負担と透明な投資行動を担保するルールづくりは急務です。日本の不動産が「安全な投資先」であると同時に、「暮らす人のための資産」であり続けるために、国と専門家の役割は今後ますます重くなるでしょう。

前の記事 :
次の記事 :

一覧に戻る

お問い合わせ・ご相談はこちらから

最新記事ARTICLE

Contactお問い合わせ・ご相談はこちらから