2025/09/06
アスベスト規制強化で“相続後の解体”が難しくなる時代へ

目次
■アスベスト規制強化で「相続した家がすぐ壊せない時代」に
~築古物件の解体リスクと、相続で損しないための備え~
いよいよ、アスベストが使われた建物の“解体時期”が本格的に到来しています。
アスベスト(石綿)は、1970年~1990年にかけて、日本中の住宅・ビル・倉庫に広く使われていた建材です。耐熱性・耐久性に優れていたため、当時は「夢の素材」とされ、天井材・外壁・床材・接着剤など様々な場所に組み込まれていました。
ところが現在、この過去の建材が大きなリスクに変わりつつあります。
■アスベスト調査・除去は“原則義務化”へ
2022年以降、法改正によってアスベスト規制が大幅に強化されました。
現在では、住宅・建築物の解体やリフォームを行う際は、原則としてアスベストの事前調査・報告が義務となっています。
以下のような工事でも、調査が必要になるケースがあります:
建物の解体工事(80万円以上の工事)
キッチンやお風呂のリフォームで、壁や床を剥がす
外壁塗装で、旧塗膜を削る・剥がす
天井の断熱材や下地を撤去する
つまり、「相続した家を壊して土地だけ売ろう」という判断が、以前よりずっと難しくなっているのです。
■事前調査が“不要”となるのはこんなケースのみ
逆に、アスベスト調査が不要なケースは限られます。
以下のいずれかに当てはまる場合のみです:
平成18年9月1日以降に建築された建物
明らかにアスベストが使われていないと確認されている建物
材料の追加や、釘の打ち付け・抜き取り程度の軽微な作業のみ
既に事前調査済みの記録があり、再確認が不要な場合
昭和・平成初期に建てられた住宅のほとんどは、調査が必要と考えるのが現実的です。
■解体費用の増加は、相続計画にも影響
アスベストの調査・除去には、追加で数十万円〜100万円以上の費用がかかることもあります。
解体費用が通常の2倍近くになるケースもあり、相続した側が困惑することも少なくありません。
これは、単にお金の問題だけでなく…
売却時に解体が間に合わない
アスベスト除去の見積もりに時間がかかる
更地にする予定だったのに、放置せざるを得ない
といった不動産の流動性や資産価値の低下につながるリスクもあります。
■まとめ:相続した築古物件は「壊す前に調べる」が常識に
これからの時代、相続で築30年以上の住宅や倉庫・店舗を引き継ぐ場合は、“解体ができるか”を前提に計画を立てることが必要です。
「壊して土地を売る予定だった」
「取り壊して新築アパートに建て替えたかった」
そんな計画が、アスベストの存在ひとつで、何ヶ月も遅れる可能性があります。
まずは、事前調査が必要かどうかを確認し、解体費用を試算すること。
その上で、相続税・譲渡税・不動産活用をどう組み立てるかを、税理士や不動産の専門家と一緒に検討しましょう。
アスベストは、見えないリスク。
しかし、「知って備える」ことで、安全に資産を活かすことができます。
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