相続税の制度見直しが進行中!〜知らぬ間に“増税”されている?いま押さえておくべきポイント〜

目次
■ 相続税の制度が“じわじわ”変わっている
相続税というと「一部のお金持ちだけに関係があるもの」と思われがちですが、近年は制度の見直しが進み、一般家庭にも大きな影響を及ぼすようになっています。
実は、ここ数年の税制改正により、「知らぬ間に増税されている」ケースが少なくありません。特に注目すべきは生前贈与に関するルール変更や、基礎控除の見直し議論です。
■ 生前贈与の加算期間が3年から7年に延長
令和6年度税制改正により、「生前贈与加算の期間」がこれまでの3年から7年に拡大されました。
これは、相続開始前7年以内に贈与された財産については、相続財産に加算されて相続税の対象になるという仕組みです。
つまり、「生前に贈与しておけば相続税がかからない」時代は終わったということです。
これにより、早めに贈与を行っていたとしても、相続発生時に再び課税対象となるリスクが高まったのです。
■ 実質的な“増税”効果が出てくる理由
この変更は、表向きには「公平な課税の実現」とされていますが、実態としては相続税を逃れにくくする=増税強化策です。
また、高齢者が資産を持ったまま亡くなるケースが増え、相続財産の額も上昇傾向にあります。
そこにこの加算ルールが加わることで、
予想外に課税対象となった
納税資金が足りない
といった相談が増えています。
■ 今後の改正候補:基礎控除や小規模宅地の見直し?
一部の専門家の間では、今後の改正候補として、以下の点も話題になっています。
基礎控除額(現行:3,000万円+600万円×法定相続人)を引き下げる議論
小規模宅地等の特例の適用要件の厳格化
生命保険非課税枠(500万円×法定相続人)の縮小
これらが実現すれば、今まで相続税とは無縁だった層にも課税が及ぶ可能性が一段と高まります。
■ 対策は「早く・正しく・継続的に」
このような法改正の流れを受けて、私たち税理士が常にお伝えしているのは、
✅ 対策は「早めに」始めること
✅ 制度改正に「正しく」対応すること
✅ 一度の対策で満足せず「継続的」に見直すこと
相続対策は、年齢や資産規模だけでなく、「家族構成」や「ライフプラン」によっても全く異なります。画一的な方法ではうまくいきません。
■ まとめ:制度を知れば、怖くない
相続税は、制度を知らなければ“損”をしやすい税金です。
しかし逆に言えば、知っていれば、正しく準備することで“守れる財産”も増えるのです。
「いつかその時が来たら考えよう」ではもう遅い時代。
今こそ、税制の変化にアンテナを張り、家族と財産を守る準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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