すべてを丸裸にする「ピピット」?とは

「ピピットリンク」──税務調査の現場で聞いた“新しい眼”
先日、税務調査の場で調査官が「この方はピピットにかけましょう」と口にしました。
「ピピット?」と聞き返すと、正式には「pipitLINQ(ピピットリンク)」というシステムだそうです。名前と生年月日がわかれば、全国ほとんどの金融機関で、その人名義の取引口座や取引履歴を一括で検索できる仕組みとのこと。
以前は、税務署が銀行ごとに照会文書を送り、一つひとつ確認していたはずですが、今では電子化され、数分で結果が返ってくる。まさに“デジタル時代の税務調査”です。
このピピットリンクは、NTTデータが提供する、行政機関と金融機関をオンラインでつなぐ照会システムです。従来の紙や郵送を使った照会を、データ通信に置き換えることで、時間・コスト・人的ミスを大幅に削減します。国税庁や自治体など、すでに多くの行政機関が導入を進めており、税務調査や滞納整理、生活保護調査などでも活用されています。
つまり、金融資産の所在を「名前と生年月日」だけで網羅的に確認できる時代が、すでに始まっているのです。
税務の現場では、これまで「地方銀行やネット銀行に預けておけば、見つかりにくい」と考える方もいました。しかしこの仕組みの普及により、そのような“盲点”はほとんど通用しなくなりつつあります。今後、マイナンバー制度とも連携が進めば、資産の把握はほぼリアルタイムで可能になるかもしれません。
一方で、私はこうも思いました。
「もし相続人であることを証明できれば、この仕組みを一般の相続手続きにも使えるようにすれば、どれほど便利になるだろう」と。
現在、相続人は各金融機関を訪れ、戸籍や遺言書を提出し、故人の口座を一つずつ確認していきます。
この作業は時間も労力もかかるうえ、相続人が複数いる場合は情報共有も難しい。
ピピットリンクのような仕組みが相続手続きにも開放されれば、相続の「探す手間」が大幅に減り、真にスムーズな承継が実現するはずです。
ただし、現時点ではこのシステムを利用できるのは行政機関のみ。
私たちが直接使えるわけではありませんが、「行政側はすでにここまで見えている」という現実を、相続・税務の実務家として意識しておくことは重要です。
資産を隠すのではなく、整理し、正しく申告・承継する時代へ――。
ピピットリンクは、その象徴のように感じました。
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