1.東京23区で広がる課税の輪
最新の統計では、東京23区で亡くなった人の約5人に1人(課税割合20.1%)が相続税の対象になりました。目黒区・世田谷区などでは3人に1人を超え、千代田区では4割強に達しています。地価高騰が続く都市部では、もはや「相続税=富裕層だけ」という常識は通用しません。山田パートナーズ朝日新聞
2.数字で見る“相続税ホットゾーン”
地価の高いエリアほど棒が長くなる――これが課税対象者の割合を示す簡易グラフです。
普通の住宅街でも路線価(相続税評価額)が上がれば、一気に課税ラインを超えてしまいます。山田パートナーズ
3.“値上がり”は土地だけじゃない
2024年からはマンションの相続税評価方法が改正され、タワマンや築浅物件の評価額が時価に近づきました。「マンションだから評価が安くて安心」という従来の節税テクニックは通用しにくくなっています。税理士法人サム・ライズ |
4.影響を受けるのはこんな人
都心や人気エリアに自宅を持つサラリーマン家庭
親から受け継いだ古い一戸建てをそのまま保有しているケース
タワーマンション高層階を投資目的で購入したご家族
いずれも「現金は少ないが土地の評価が高い」ため、相続税を現金で納める資金繰りに苦労するリスクがあります。
5.プロが勧める3つの備え
評価を把握する
路線価図と固定資産税評価額を年1回チェックし、課税ライン(基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人)を突破していないか確認。小規模宅地等の特例を最大活用
自宅土地(330㎡まで)なら最大80%評価減。持ち家のない子が相続する場合など適用要件を早めに検討。生前贈与・資金準備のタイミング設計
相続時精算課税や毎年110万円の暦年贈与を組み合わせ、納税資金を計画的にプール。タワマンは評価改正後の再試算が必須。
6.まとめ――「わが家は関係ない」は禁物
23区の課税割合20%超は、相続税が都市部に住む“普通の家庭”の問題へ広がったことを示しています。
地価や評価ルールは変えられませんが、現状を知り・早めに対策することで負担は大きく軽減できます。
ご家族が安心して資産を受け継げるよう、まずは自宅の評価額と納税額の概算を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。