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コラム

デジタル資産の盲点──相続後の証券口座が狙われている

現代の資産管理において、「見える資産」と「見えない資産」が混在するようになりました.

中でも急速に拡大しているのが、ネット証券をはじめとしたデジタル資産です。
そして今、この“見えにくい資産”が相続のタイミングで狙われるリスクが急増しています。

NHKをはじめとする報道機関は、証券口座の乗っ取り被害が相続後に増加していると報じています。

被害の背景には、オンライン証券の利便性と、相続という一時的な情報の空白が複雑に絡み合っています。

たとえば、SBI証券や楽天証券などのネット証券は、通帳も紙の通知書も存在しません。

パスワードや二段階認証の設定が故人のスマホに限定されていた場合、相続人がその資産の存在を認識しないまま数カ月が経過することも珍しくありません。

そうしたスキをついて、悪意ある第三者が不正にログインし、資産を奪う事件が実際に発生しています。

税理士としてこの問題に向き合う中で感じるのは、「相続=財産分与」だけではなく、「相続=リスク管理」の時代に入ったということです。

今後、相続対策を考える上で重要になるのは、以下の3点です。

第一に、生前の資産の“見える化”です。現金や不動産だけでなく、証券口座・仮想通貨・ポイント・フィンテックアプリまで含めて一覧化し、信頼できる家族や専門家に伝えることが必要です。

第二に、デジタル遺言やパスワード管理の整備です。クラウド型パスワードマネージャーや、紙に書いて保管する方法など、形式は問わずとも「アクセス権限の明示」が欠かせません。実務上は、遺言書に最低限の金融資産の所在を明記しておくことも有効です。

第三に、相続発生後の“即時凍結”の徹底です。死亡届の提出と同時に、主要な金融機関に連絡し、速やかに口座の利用停止を申請する体制づくりが、トラブル回避につながります。

相続税の申告・納税という業務の傍ら、私たち税理士は、ご家族が不慣れな“相続の現場”で混乱しないよう、リスクの可視化と手続きの簡素化を支援する責任があります。

特に、相続人が遠方に住んでいたり、高齢であったりする場合、ネット資産の情報伝達は困難を極めます。

かつて「相続」は紙と印鑑の世界でした。しかしいま、パスワードとセキュリティコード、そして情報共有こそが新たな相続対策の柱となります。
相続財産は「残す」ものではなく、「守って届ける」もの。その意識を社会全体で共有していく必要があると強く感じます。

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