路線価の急上昇が相続税に与える衝撃 〜名古屋でも無縁ではいられない時代へ〜

■ 路線価とは何か?
毎年7月に発表される「路線価」。これは、国税庁が相続税や贈与税を算定する際の基準となる土地の評価額です。特に都市部の主要な道路沿いの土地については「1平方メートルあたりいくら」という形で数値化され、実際の相続税額にも大きく影響します。
この路線価は、一般の不動産取引価格よりも2割ほど低めに設定されていますが、近年の地価高騰を受けて、2025年の最新の発表では名古屋市内でも過去最高水準に達したエリアが目立ちました。
■ 名古屋でも無関係ではいられない
以前の相続税は「富裕層だけの税金」というイメージが強く、一般的な家庭には無縁と思われがちでした。しかし近年、都市部の地価上昇により、思いもよらず相続税の課税対象となる家庭が増えています。
特に名古屋では、栄や名駅エリアだけでなく、郊外でも路線価の上昇が顕著です。例えば緑区、名東区などの住宅地でも、数年前と比べて20〜30%上昇しているケースも見受けられます。
これは、両親の自宅を相続した際にも「課税対象になるかもしれない」という現実を意味します。
■ 相続税の試算は「今」から始める
路線価の上昇は単なる数値の話ではありません。相続時の現金負担が増えるということです。
たとえば、3,000万円の評価額だった実家の土地が、路線価の上昇により4,000万円に上がれば、それだけで課税対象額が1,000万円増え、税額は数十万円〜数百万円跳ね上がります。
これを避けるためには、早期の試算と対策が不可欠です。具体的には、生前贈与、小規模宅地の特例、生命保険の活用など、税理士と連携した相続対策が求められます。
■ 今後の展望とアドバイス
2025年の地価・路線価上昇は一過性ではなく、都市再開発やインフラ整備(リニア中央新幹線など)の影響もあり、今後も高止まりが予想されます。
「うちは普通の家庭だから」と安心せず、資産の棚卸しと相続税のシミュレーションを一度実施することを強くお勧めします。
地元密着の税理士や不動産専門家に相談することで、「後から知って損をする」を防ぐことができます。
■ まとめ
名古屋でも“相続税が突然降りかかる時代”が本格化しました。路線価の動向に無関心でいることは、後々大きな負担となりかねません。
「今のうちにできることは何か?」を真剣に考え、将来の安心と家族の負担軽減につなげましょう。
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