相続した不動産は共有名義にしてもいいのか?
相続財産に不動産割合の占める割合が多い場合、相続人に公平に分けることができない場合があります。話し合いもまとまらず、とりあえず、共有名義によって不動産を相続する場合がありますが、共有名義にした場合何が起こるのか?
①相続後、すぐに売却するのであれば、あえて共有にすべきだと思います。なぜなら、不動産売却において、相続では2,000万円の評価であった土地建物も売却すると諸経費が発生し手残りが少なくなり、公平でなくなるからです。
例えば、長男に2,000万円、長女に2,000万円の評価の住宅を取得した場合、それぞれが、2,000万円づつなので平等に分けることができたと一見思われますが、実はそうではないのです。30坪くらいの土地、土地の上に築35年の木造2階建てだった場合、解体費用、確定測量、仲介手数料、登記費用、印紙代など270万円ほどかかり、相続空き家の特例が使えなく、購入当初の契約書等の書類がないのであれば、326万円ほどの譲渡所得税等がかかります。つまり、2,000万-270万円-326万円=1,404万円の手残りです。後で、実は手残りが少ないからと言って相続人間で現金のやり取りをするのであれば、それは贈与税ということになります。実勢価格(実際の取引価格)と相続税評価額ではまた違うのです。相続税評価額は実勢価格よりも8割ほどで価格を出しているといわれていますが、想定以上に高く売れれば得することもありますが、実際、人口減少は加速度的に進んでおり、評価額にかかわらず、売却すらできない土地も発生しているため注意が必要です。又、相続空き家の特例が使える住宅であれば、3,000万円×相続人分を使えるので、共有にした方が十分に節税になります。
② ①の理由でなければなるべく共有にしないようにしてください。
例えば、仲良く相続人4人で共有したというケースがあったのですが、売却をしたいと言うときに、共有持ち分の一人が認知症にかかっていました。そのケースでは一部の所有者の意思確認ができないため、結果、実務的に全部の所有権を売却でないことになりました。
例えば、相続人間で仲が悪い、一部の相続人が遠方などの原因があるのであれば、争族トラブルを先延ばしにするだけかもしれません。少子化の時代、不動産は資産であるという時代は終わり、ものによっては負債になりかねません。共有であると、雑草が生えてきた、建物が傾いている、アパートであれば、管理は誰がするのか?あんなに仲良かった、孫同士が、親の都合で遊べなくなる事態になりかねません。できることは相続発生前に行う争族対策になるのです。
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