相続税対策~財産を圧縮する③(生前贈与の注意点)~
前回は相続税と贈与税の実質的な税率を考えて、次世代に残していくということで、子供や孫たちにより多くの財産を残せるというお話をさせていただきました。
今回は、生前贈与の注意点をいくつかお話させていただきます。
①相続が3年以内に発生した場合の贈与税の持ち戻し
②連年贈与認定のリスク
③子・孫の贈与財産の無駄遣い
④老後資金の把握
①ですが、国税庁としては相続税対策として、贈与で税金をとれなくなってしまうこと、租税回避されることは良しとしません。3年以内に推定相続人に贈与した財産は相続時に持ち戻されて計算され、贈与がなかったことと同じ相続税が算出されます。つまり、推定相続人への3年以内の贈与は意味がないということです。亡くなる直前に相続税を少しでも抑えようと相続税対策をされる方が多いのです。そしてそれを回避する為の税制です。前もって、贈与をしていくことの大切さを確認してください。
贈与に関して、②連年贈与も租税回避とみなされます。連年贈与は、例えば、毎年200万円づつ、5年間に分けて贈与したものがあったとします。
税務署は、もともと決まっていた1000万円の贈与を、わざわざ租税回避のために5年に分けて贈与をしたと認定するかもしれません。それが連年贈与と言われているものです。
するとどうなるのか、1000万円を一括で贈与したとみなされ贈与税が課税させます。
税務当局は税を回避することに関しては厳しくチェックします。
③子・孫への贈与財産の無駄遣い。これはどのようなことでしょうか?例えば、あなたは相続税を支払うくらいならとかわいい大学生の孫に毎年100万円を贈与しました。かわいい孫から「おばあちゃん、ありがとう!!」と感謝され、「おばあちゃん、ハワイに行ってきたよ。お土産あげるね」「おばあちゃんからもらったお金で、洋服買ってきたよ」といわれ、あなたはうれしい気持ちになるかもしれませんが、ちょっと待ってください。ひょっとしたら、大学生の孫に毎年100万円を渡すことにより、浪費癖をつけてしまっている場合があるかもしれません。孫が社会人となりお金の大事さを理解しているのであれば問題ありませんが、女子大生の孫にとって、プラスよりマイナスが大きいかもしれません。
④老後資金の把握は一番重要かもしれません。今人生は100年時代を迎えました。老後の人生はリタイアした後も、長くつづきます。充実した、幸せな人生を送るためにはお金は必要不可欠です。多くの財産をお持ちの方も含め、実は残りの人生でいくらくらいの資産が必要かを理解せずに不安を抱えている方が多いのです。生前贈与するにもご自身の生涯の十分なお金を理解した上で、余剰資金として子や孫に如何に残してあげられるのかを考えるべきです。
次回は対応策をお話します。
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