相続税対策~財産を圧縮する⑥(老後資金対策)~
次は、相続対策の一番重要な点かもしれない老後資金対策です。
相続対策は非常に難しい理由の第一に、財産を受け取る側も渡す側も「死」というテーマに対し、皆さんが、臭いものにふたをする、触れたがらないという問題があります。
引き継がれる側の子も親に死んだ後のことを聞くことは財産を狙っているようで非常に気が引けますし、引き継ぐ側の親も自分が死んだ後のことを話したりすることは気が重いことです、実際に私も親に伝えたときには、初め「俺を殺す気か」と大きな声で怒鳴られたものです。
しかし、老後資金対策は親のお金が欲しくて準備をするものではありません。
相続と違い老後資金は、100年時代と言われる老後の人生を有意義で魅力あるものにするためのものです。
有意義で魅力あるものにするために、残りの人生100歳までに必要なお金はいくらかかるのかを計算します。年金や家賃収入、または生活費、療養費、介護費、遊興費など年間にいくらの収入があり、いくらかかるのかを試算します。そして、認知症になった場合にはどうするのか、通常、認知症になった場合には、法定後見人が選任され、裁判所の管理下になり、子と言えど、その財産を自由に動かすことができなくなるのです。認知症になる前に、その対策にオーダーメイドで何が必要なのかの対策するべきなのです。
そして相続対策は老後資金対策の延長線上にあるもので、老後の資金対策が終了し、親と子のコミュニケーションがしっかりはかれたのであれば、老後資金対策で計算された余剰資金から、相続対策もすることが比較的スムーズにできるのではないでしょうか?
相続は単純にお金を取り合うものではなく、幸せな人生を歩んだ後に子などに残された財産と思いを子や孫に託すものとして、家族の幸せを想い、取り組むものなのです。
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