相続財産⑭~親族への資金移動は贈与?貸付?~
親子間で、住宅資金のお金を出したり、教育資金を出したりすることはよくあることです。
それが、贈与なのか?貸付なのか?により相続税の金額に影響が出ます。
特に親子間ではそのあたりは曖昧で、実際、出世払いでとか、あげるつもりで貸しているとか、贈与だとしても贈与税の申告をしていないとかグレーなことが多いと思います。
国税庁のアックスアンサーNo.4420「親から金銭を借りた場合」 にありますが、上記のような場合は贈与したものとして取り扱われることになります。
無利子の資金移動があった場合は、それが貸与であったと明らかでない場合には贈与として認定されることになります。
逆に貸付としたい場合には必ず借用証書を作成して保管しておかなければいけません。返済期日や利息の定めがなくても金銭消費貸借は認められます。
ただし、通常は相続が発生した時点で、その資金移動は貸付でなく贈与として相続税の対象ではない財産であるとして認められたいと思うはずです。除斥期間(≒時効)が過ぎていれば贈与税の申告をしていなかったとしても、時効として贈与税は請求されないのですから・・・
逆に相続税の税務調査が入った時、税務署側は贈与ではなく貸付や名義預金として相続財産に認定し相続税を徴収しようと考えます。
調査に入った時、「贈与契約書はありますか?」と質問されます。贈与があったか総合的に考慮することが原則ですので、税務署の職員は贈与が成立していないのではないかという目線で調査をしてくるはずです。
タックスアンサーのように親族への資金移動は贈与として認められるケースは多いと思いますが、贈与であれば、贈与契約書をしっかり書面で残しておく、税務署側は総合的に判断しますので、証拠を一つでも残しておくことをお勧めします。
総合的に考慮するとは・・・
例えば、贈与税の申告書を出していたとしても、筆跡が亡くなられた方の筆跡である(贈与税の申告書は本来もらった側が提出する)、聞き取り調査ではもらった本人が知らなかったなど、単純ではありません。契約書がなくても親族への資金移動は贈与として直ちに成立していると考えるのは間違いかもしれません。
ちなみに教育資金は扶養義務の範疇ですので、贈与ではありません。但し、教育資金としてもらった預金の中から余剰金があれば贈与になります。大学の授業料など高額であれば、直接振り込むなど証拠を残しておくといいでしょう。
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