相続における譲渡所得税の注意点
譲渡所得税とはいったい何なのでしょうか?
そもそも、不動産を売却した場合に税金がかけられることを知らない方も多くいらっしゃいます。
そうなんです。不動産を売却して買った時より儲けが出た場合には譲渡所得税として確定申告をして納税しなければいけません。
例えば、5年を超えて所有していた不動産を売却した場合の長期の譲渡所得税は(住民税合わせて)20.315%になります。解体費用、測量代、仲介料や買った時の購入代金(建物は減価償却必要)を引くことができ、残りの所得に対して税金がかけられます。
ここで、相続において、譲渡所得税がどのように関係してくるのかをご説明します。
相続財産には、現金、預金、株、不動産いろいろと流動性の高いもの低いもの、財産の種類によっても公平に分けることはできません。不動産が代表的なものになるでしょう。
相続評価額が3,000万円だからと言って、3,000万円で売れるとは限りません。3,300万円かもしれませんし、2,700万円かもしれません。相続税の申告書で評価された評価額は相続税を計算するためにする財産評価です。極論をいうと、売れない土地、誰も買ってくれない土地でも相続税を評価するために評価額が出てしまいます。
ただでさえ、不明確でリスキーな不動産ですが、その3,000万円の評価であるその土地を相続後すぐに売却して現金化しようとした場合には特に譲渡所得税に対する注意が必要です。
例を挙げてご説明します。
A相続人は現金で3,000万円を取得、B相続人は不動産で3,000万円の戸建てを取得
以上は公平でしょうか?
Bが不動産を事業で使う、住宅として使うなどこれからも活用するのであれば特に問題は起こりません。但し、売却して現金化する目的であれば、注意が必要です。
3,000万円の相続税の評価である不動産ですが、売却した場合に手間と費用が掛かります。土地(古家付き30坪、先代が買った時の書類なし、)であれば、仲介手数料、解体費用、測量代、司法書士費用、収入印紙、そして確定申告の手間や譲渡所得税です。およそ仲介料は100万円、解体費用150万円、司法書士費用1万円、印紙代1万円、
そして、なんと!譲渡所得税(住民税含む)は530万円にもなります。
諸費用をある程度覚悟していたとしても、手残りは2,200万円程度です。思ったより残らなかったと愚痴をこぼされる方も少なくありません。
初めに平等だと思っていたB相続人も思わぬ出費に頭を抱えることでしょう。
では、どうするのか?
不動産である相続財産を、売却を念頭に相続するのであれば、初めから相続評価とは別に実勢価格(いくらくらいで取引がなされているのか、実際の取引価格)を不動産業者さんと検討するべきするのであり、譲渡所得税や税理士に申告をお願いするのであれば申告料も加味して分割協議を検討するべきです。
また、仲がよかったり、売却不動産の近隣に相続人が暮らしているのであれば、共有名義で相続するのも一つの方法だと思います。そうすれば、平等に財産を分けることができるのですから・・・(ただし、面倒な売買契約、引渡、相続税の申告は2人分かかりますが・・)
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