2021/10/01
アパートなどの投資物件を建築する際の注意点~消費税~
令和2年度10月1日以降に居住用賃貸建物を建築した場合に係る消費税の改正ですが、以前からの問題が解決する改正となりました。
アパートを建築する際に、消費税の還付をもらって利益を上げようとするスキームが以前にありました。
消費税はそもそも、その年その年で計算します。例えば、平成20年度に1億500万円で建築したアパートも消費税の課税事業者として選択し、平成20年度に自動販売機などのみの消費税の課税売上が、例えば105万円、その年を消費税がかかる売上だけにした場合(消費税5%の時代と仮定)、アパートの購入費用で支払った500万円が還付の対象になり、自動販売機の売上でもらった消費税5万円を引いた差額の495万円が納税者の手元に戻ってくる。というスキームです。
居住用賃貸建物を貸し付けたのであれば、売上に預かる消費税はないので、売上が消費税の課税される事業でなければ、仕入れの場合も消費税は支払っていても、課税仕入れとして認めない、つまり還付される消費税は本来ないのですが、消費税が発生する自販機の売上をかますことで、建築に支払った消費税分を課税仕入れとして還付を請求したスキームでした。
そもそも、店舗や事務所は消費税がかかるのに、居住用は消費税を非課税にしていることがそもそもややこしくなる始まりです。
さすがに国税庁も改正をして、対策として調整するようになりました。
3年間の課税売上の平均で消費税が対象の売上の割合が著しく減った場合は返してもらうよという調整です。
それでも、現在においては、転売目的で購入したアパートであるので、売却するときには消費税を払うのであるから、購入した時には仕入税額控除を認めてくれという立場と居住用の賃貸アパートであれば非課税売上なので、仕入税額控除は認めないとの立場があります。
裁判などで争っているようですが、今回は改めて改正され、
そもそも居住用賃貸建物の取得等の場合は一切、仕入税額控除を認めないというものです。
※消費税法 第30条 10
※仕入税額控除とは、消費税の課税売上にかかる消費税から課税仕入にかかる消費税を控除することです。
今までは、一旦、消費税の仕入税額控除を認めておいて、後で納税者に仕入税額控除を調整する、(納税者サイドからは後で支払わなければいけない)という方式でしたのでトラブルがおおかったのですが、今度は逆に、一切、認めないけど、3年後の状況を見て、要件と適合しているようだったら後で返してやるよいう方式に変わります。
建築する建物が、賃貸か事業用かで、大きく消費税が変わるので、短期間で転売を繰り返す事業者にとっては大問題ですが、3年以内の調整期間に売却する、あるいは事業用の賃貸に変更した場合には課税仕入れを、居住用賃貸建物はあとで、仕入れ税額控除が調整されます。
購入した時点では、まずは一切認めないよということで決着がついたようです。
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