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コラム

実務の失敗例①~遺言書の作成ができない~

実務の失敗例は実際に行った失敗例を基にお話していこうと思います。

年に一回の確定申告でお世話になっているアパート経営のお客様Oさまのお話です。

年に一度、確定申告のお手伝いをさせていただくため、お会いをさせていただいております。

Oさまもお父様もアパートをされています。

Oさまの家族は地主としていくつもお土地をご所有しております。

Oさまのご自宅付近は開発が進み、いつの間にか周辺も住宅が建ちのぼりすっかり住宅街になっていました。土地をそのまま遊ばせてももったいない、このままだと相続税を支払う納税資金の確保、相続税対策の一環として、アパートをたてられました。

私がお会いした時には既に、Oさまのお母様は認知症になっていました。

Oさまのお父様は介護が必要だとして一度もお会いできませんでした。

将来の相続を考えて、お父様には遺言書を書いていただくようにOさまには毎年、促せていただきました。

また、今年も申告の時期がきて、お話を聞かせていただいたところ、Oさまのお父様が認知症になってしまったとのこと。

Oさまのお父様、お母様が認知症になったことにより、遺言書の作成ができなくなりました。

このことにより、非常に困ることが生じるのです。

遺言書の作成を促しきれなかった自分を情けなくも感じるのですが、どのように促すかは自分の課題であると感じています。

ただ、お元気な方に、遺言書の作成、認知症対策を促してもピンとこない方や考えたくないとばかりに思考停止をされる方が多いのが現実だと思います。

非常に難しいですね。

認知症になることにより何がおこるのか、

①認知症の方が相続人になるということ

もしO様のお父様が亡くなった場合、Oさまのお母様が相続人になります。そしてOさまとOさまの妹様全員にて、遺言書を作成していない場合、話し合いで財産を分けなければいけません。

②遺産分割協議

話し合いで財産を分けることを遺産分割協議と言います。

そして、遺産分割協議書に署名し、印鑑証明書を添付し、各関係機関に提出します。銀行の預貯金、不動産の所有権の移転、有価証券、生命保険などなど。

但し、認知症の方が相続人の中にいた場合、意思表示ができない為、協議書に署名ができないつまりは何も相続人を決定することができないということです。

預金、株、生命保険、不動産の相続登記をしなくてかまわないので問題がない?それが違うのです。

③相続税申告

10ケ月以内に相続税の申告書を提出しなければいけない。

相続税の申告には期限があります。その期限を守ることにより特例を使うことができるのです。

その特例を使うためには分割協議をしなければいけませんが、その分割協議ができなくなるのです。

特例では、大幅に財産評価を下げることができ、相続税を引き下げることができます。

これが、使えないかもしれないですよということになります。

④成年後見人制度の活用

このような方に、国は成年後見人という制度を設けています。成年後見人を申請すれば、分割協議を行うことはできるのですが、認知症の方の財産を守るために存在する後見人は、相続税を安く済ますという配慮ではなく、この場合はOさまのお母様の財産を守るため、法定相続分の2分の1の財産を主張することになると思います。

つまりは、どの様に分けることがOさま親族の全体で相続税を安くするという思考ではなく、Oさまのお母様の財産をどのように守るかが後見人に与えられた使命だからです。

そしてその後見人にしはらう月々3万~4万などの費用負担が発生します。

せっかく、相続税を安くしようとおもって行ったアパート経営でしたが、大事なところでできなくなる可能性が発生するのです。

確かに、遺言書が必要でない未来もありました。お父様が認知症にならずにお母様が先に亡くなっていれば、ただのお守りで必要なかったかもしれません。

医療保険も生命保険もおまもりで万が一に備えるものです。

遺言書を作成しなくても認知症にもならず、家族がなかよく何事もなく分割協議がおこなえるのであれば、問題も起こらなかったかもしれません。

⑤だまってOさまの実印をつかって分割協議書を作成する。

如何でしょうか?これが許されるか否かは言わなくてもわかると思います。後々、成年後見人が財産を整理した時や他の相続人に咎められたり、私文書偽造罪となりますよ。

 

 

 

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