公正証書遺言も無効になることがある?!
今日、不動産業者の方に相続人間で、相続登記が終わった不動産で揉めているというお話を聞きました。詳しいお話はお伺いできなかったのでわかりませんでしたが、
そこで、本日は公正証書遺言で相続された場合にもひっくり返ることがあるというお話をします。
認知症の程度によっては公正証書遺言であっても無効になるという事例です。
第一審では認知症が中程度であるとして遺言書は無効、第二審・三審では初期症状として遺言書は有効であるとして認められた事例です。
(広島地裁 令和2年2月6日判決、広島高裁 令和2年9月30日判決 判例時報2496号29頁)
公正証書遺言では公証人の前で、立会人2名を含め、遺言者本人の意思確認をすることにより執り行われます。本人に公証人が質問をして遺言の内容も確認します。中程度であればそこで跳ねられてしまうと思われますので、基本的に覆すことは困難だと思いますが、
この裁判例では、相続が発生した後に医療記録などから実際に診察したわけでもない医師からの意見書から認知症は中程度であったとして第一審では無効とされています。
どこまでが中程度で初期症状かは難しい判断ですが、
①認知症の初期症状であれば、遺言書は有効である。
②認知症を疑われる前に遺言書は作成しなければいけない。
この2点が重要であると理解できる判例を取り上げました。
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